当劇場のプログラムは、すべてノンフィクションドキュメンタリーです。どうぞお楽しみくださいませ。

保護犬を飼う。

今夏、ウチにはトイプードルがいた。

正確には、トイプードルの雑種かも知れないが、そんな事は重要ではない。

名前は、キノコ。

メス。年齢不詳。歯は何本かない。薄毛部分アリ。贔屓目に見なくても美人さん。

獣医さんによれば、10歳は超えているみたい。

元は保護犬で、弟夫婦が飼いだしてから3年ほど経つ。

キノコは、いつでも誰かに撫でて貰いたい仔。

撫でている手が止まると、「すっとずっと撫でていて!」と言わんばかりに、ワタシの手をチョイチョイと引き寄せて要求したり、鼻先を手の下に入れてきて、撫でてアピールをしたりと、とにかく甘え方は病的で容赦なかった。

修行僧のような気分で、「キノコサン、モウユルシテクダサイ」と言いながら、ひたすら撫で続けた時でも、全く苦痛ではなかったし、とても愛おしかった。

際限なくスキンシップを求めてくるキノコの様子は、少し悲しくもあった。

過去のキノコの犬生を想像すると、出来ることはなんでもしてあげたかったし、キノコが幸せに笑ってくれるなら、お金も惜しくなかったし、働く張り合いがあった。

人が大好きで、初対面とか関係なしに誰にでも尻尾を振ってお腹を見せて激しく撫でてアピールをする拙僧のなさが愛おしかった。

キノコがいる間、リビングで家族全員がキノコを囲んで一緒に寝転がって過ごした。

そう、我が家族はキノコを中心としたひとつの「群れ」そのものだった。

家族間の話題は、キノコが独占した。

家族のLINEは、キノコが散歩で何ウンピーしたとか、とにかくキノコの話題と写真で埋め尽くされていた。

約3ヶ月間、キノコは、ゲストではなくウチの家族の一員として濃密な時間を一緒に過ごした。

キノコを本当のお家に送り届ける日の朝から、涙が出て止まらなかった。

キノコがいなくなって数日経つが、ふとキノコを思い出しては涙が溢れてくる。

かなりの重症。

今、キノコは、弟夫婦の家で幸せに暮らしている。

たまに、ウチにお泊まりに来てくれたら嬉しい。

失った時の喪失感に耐えられるか自信がなくて、今まで犬は飼えずにいたけれど、キノコのお陰で覚悟ができた。

決めた。保護犬を飼う。

安心できて楽しい世界もあるんだよって、ウチの家族みんなで教えてあげる。

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